グランド・セフト・オート・サンアンドレアス。18禁のはずなのに、どういうわけか多くの人の子供時代の思い出となっている不思議なゲームです。 そしておそらく、自分が初めてプレイしたオープンワールドゲームでもあります。
先日、期せずしてこのゲームの聖地巡礼を行ったこともあり、久々に遊んでみたくなりました。
そもそもどのエディションで遊ぶか?
GTA:SA はリメイクやリマスターがたくさん出ています。
オリジナル版 (PS2 / PC)
全ての始まりとなったバージョン。
今見るとグラフィックはさすがに古さを感じさせるものの、独特のオレンジがかった空気感、ローポリだからこそのキャラクターの「味」は健在。
特にPC版はMOD(改造データ)文化が非常に豊か。
モバイル版 (iOS / Android)
スマートフォンやタブレットで手軽に遊べるようになったバージョン。
小さい画面でプレイしたくはないので論外。
HDリマスター版 (PS3 / Xbox 360)
モバイル版をベースに移植されたと言われているバージョン。
解像度こそ上がっているものの、フレームレートの問題や大量のバグ、雰囲気の変化などから、ファンからは大不評。論外。
Grand Theft Auto: The Trilogy – The Definitive Edition (現行機 / PC / モバイル)
最新のリマスター版で、GTA3、VC、SAの三作品がセットになっている。グラフィックはUnreal Engineを使って現代風に大きく作り直された。
しかし、こちらも大量のバグや雰囲気の違いから、あまり評判は良くない。最近になって大型パッチが投入され、問題の大部分は改善したらしいが…。
で、結局どれを選んだのか?
結局自分が選んだのは PCのオリジナル版 です。
理由はいくつかあります。
まず第一に、MODの存在が大きいです。オリジナルの雰囲気をなるべく維持しつつ、ワイドスクリーンに対応させたり、細かなバグを修正したり、操作性を改善したりといったMODを導入することで、現代のPC環境でも快適にプレイできるとのこと。
次に、オリジナルの雰囲気を重視したかったからです。Definitive Edition はグラフィックこそ綺麗になりましたが、個人的にはあの少し粗削りで、良くも悪くも「2000年代初頭のゲーム」という空気感が好きなのです。
もちろん、手軽さやグラフィックの綺麗さを求めるなら Definitive Edition やモバイル版も良い選択肢だと思います。ただ、今回は「あの頃のサンアンドレアス」をもう一度体験したかったので、MODで補強できるPCオリジナル版が自分にとってはベストな選択でした。
MOD 導入
ゲームを快適にプレイするため、以下のMODを導入しました。
バージョンダウン
まずはMODを入れる下地を整えるため、バージョンを1.0.0に落とす必要があります。
以下の記事に従ってバージョンダウンしました。
以下からファイルをダウンロードして、既存のインストールされたゲームのフォルダに上書きするだけです。
SA Essentials
次に、SA Essentials をインストール。
このパックには絶対に見逃せないMOD が含まれています。ゲームをインストールした後の最初のステップ。クイックスタート。
とある通り、これを入れることで高解像度化、細かいバグの修正、クラッシュ回避、そしてMOD導入の下地を整えることが可能です。
やはり、ダウンロードしたものを全部インストールフォルダにぶちこめばOK。
日本語化
当時に比べれば圧倒的に英語ができるようになったので、日本語化せずにプレイを試みたものの、黒人英語のリスニングはかなり厳しい。素直に日本語化します。
以下のページの共通手順3以降を実施する。
以下からフォントファイルをダウンロードしてインストールフォルダに上書き。
以下から日本語翻訳ファイルをダウンロードしてインストールフォルダに配置。
Skin Selector v2.1 ML and v2.1 C
全く必須ではないのですが、キャラクターのスキンを自由に変えたい。CJは嫌いではないしむしろ大好きなキャラクターなのですが、やっぱりメチャクチャなスキンを入れて遊んでこそ、本来のGTA:SA体験だという気がするのです。
ということで、まずはSkin Selectorを導入。
以下のMODを、ModLoaderに対応するよう更新したものになります。 (めちゃくちゃ懐かしい!まだこのサイトが生きていたことに感動してしまった。)
ダウンロード・展開して出てくるSkin Selector (o)
をmodloader
ディレクトリに配置すればOK。
ゲームが起動したあと、Tab+Q+Eでメニューを開いてから選択したり、Tab+Q/Eでスキンを順繰りに変更することができます。
注意:
- ここまでの構成では、大部分のカットシーン中のCJのスキンは変更されない。
- カスタムスキンのままミッション内で衣装チェンジを行うと確実にクラッシュする。着替える前にCJに戻すべし。
Lumine from Genshin Impact
やはりこれも必須ではないものの、最後に任意のスキンを導入します。
GTA:SA を今やる動機の一つとして、原神の復帰イベント開放を待つ間の代替という目的がありました。そこで、原神の蛍さんでCJを置き換えます。
Model: miHoYo (HoYoverse)
らしいので、公式に頒布されているモデルをGTA:SA用に変換したものなのかな。どおりでクオリティがめちゃくちゃ高い。
Ah shit, here we go again.
蛍さんのスキン導入は大正解で、シュールな場面がたくさん発生して毎回ニコニコできました。
導入が成功すれば、こんな感じで変更されたスキンや日本語キャプションが表示されるはず。
回復アイテムを摂取しすぎた蛍さん。
七天神像送りにされた蛍さん。
筋トレに励む蛍さん。
人気ラッパーのマネージャーが海底に沈んでいくのを目撃する蛍さん。
ナタに辿り着いた蛍さん。
これからドライブを楽しむ蛍さん。
感想
というわけで、まだ完走していませんが感想です。
GTA:SA はやっぱりめちゃくちゃ面白い!
正直なところ、思い出補正がかなりかかっているのではないか、今プレイしたらグラフィックや操作性の古さに耐えられないのではないか、という不安もありました。しかし、実際にプレイを始めると、そんな心配は杞憂に終わりました。
色褪せないゲーム体験
まず驚いたのは、オープンワールドとしての完成度の高さです。
ロスサントス、サンフィエロ、ラスベンチュラスという個性豊かな3つの都市と、それらをつなぐ広大な田舎や砂漠。それぞれの地域に独自の文化や雰囲気が息づいており、ただドライブしているだけでも飽きません。
そして、エリアごとに設定されたスカイボックス、街ゆく人々の会話、ラジオから流れる当時のヒット曲、NPCの挙動、などなど細部へのこだわりがすごい。
GTA:SA のマップの広さは GTA5 の半分以下らしいのですが、不思議なことにGTA5よりもGTA:SAの方がマップが広かったような気がするんですよね。
これもまた幼少期の思い出補正かと思っていたのですが、改めてプレイしてみてもやっぱり、GTA:SAの方が世界が広く感じました。
SA の方が描画距離が短く、遠くが見通せないというのは一番大きな理由としてあると思うのですが、3つの同じくらい発達した都市が田舎を介して繋がっているというマップデザインも素晴らしい。
なんというか、SAのマップの方が密度が高い気がします。どのエリアにも訪れる理由があるし、エリアごとの特徴も際立っている感じ。
CJの「英雄の旅」
SAのストーリーは本当に面白い。そして例によって、その理由は「英雄の旅」のおかげだと感じました。
- CJは黒人ストリートギャングとして「日常世界」(ロスサントス)に暮らしている。
- しかし仲間の裏切りによって、「非日常の世界」への移行を余儀なくされる。
- 「試練の道」の中で、彼は新たな仲間、ビジネス、経験を獲得していく。
- 最終的にCJは、より広い見識を持った「二つの世界の導師」としてロスサントスに帰って来る。
- 彼はスモークやテンペニー巡査を打倒し、「生きる自由」を手に入れる。
ボグラー流の考察を加えると、
- CJの外的な動機
- グローブストリートの復興、人質に取られたスウィートの保護、金稼ぎ
- CJの内的な動機
- スラム的な生活からの脱出(?)
ということになるのではないでしょうか。
CJはグローブストリートを大事に思いつつも、心の奥底ではスラムを脱出して成功したいという欲求を秘めていたように見えます。それ故東海岸へ逃げたものの、彼は黒人ストリートギャングとしての生き方しか知らなかった。そこに母の死の報せが届き、それをきっかけに多様な人種・コミュニティの人々と交流することで、新たな生き方を見つける。
抽象的なレベルで言えば、そんな感じのストーリーなのだと思います。
そう考えると、スモークとテンペニーがどちらも黒人であること、彼らがギャングvsギャング、ギャングvs警官という対立を象徴するキャラクターであること、そしてCJが彼らを殺害することには、単に親の仇だとかこれまでに受けた嫌がらせへの報復にとどまらない、より深遠な意味があるように感じます。
これについては、クリア後にあらためてしっかり論じてみたいところ。
MODによる快適化と新たな楽しみ
今回導入したMODも、プレイ体験の向上に大きく貢献しています。特に SA Essentials によるワイドスクリーン対応やバグ修正は、現代の環境でプレイする上で必須でした。
そして、蛍さんのスキン。これは本当に素晴らしいスパイスになりました。シリアスなカットシーンで蛍さんがドスの効いた声で喋ったり、UZI片手に明らかに女の子らしくない姿勢で走る姿は、シュールすぎて毎回笑ってしまった。
間違った世界に降り立ってしまったパラレルワールドと考えれば、原神のカノンとの整合性もギリギリ取れる(???)のがまた面白い。
テイワットではなく1992年のサンアンドレアスに来るとここまで口が悪くなってしまうのか。
まとめ
というわけで、MODによるカスタマイズで現代的な快適さを手に入れつつ、オリジナルの持つ独特の空気感や自由度の高さを再び満喫することができました。
久々にプレイした GTA:SA は、単なるノスタルジーに浸るためのゲームではありませんでした。確かに懐かしさはありますが、それ以上に、今プレイしても全く色褪せない面白さがあります。
昔のほうが良かった、というと懐古厨みたいになってしまいますが、実際、グラフィックが荒いからこそ、プレイヤーへの親切が不足しているからこその体験というのは、確かに存在しているように思いました。
描画距離が短いのは間違いなく技術的制約によるものでしょうが、それが結果的に世界の広さを強調するのに重要な働きをしているとか、オートセーブが無いからこそ、セーフハウスをアンロックしていくこと、そしてミッションクリア後に死亡しないことが重要な課題になるとか。
上述した動画から引用した Definitive Edition のスクショ。
マップのどこからでもチリアド山が見えてしまうのは、とても間違っているように感じる。
いや本当にその通り。このスクショだと、チリアド山だけでなく、ロスサントスやサンフィエロのビル群まで丸見えになっている。ラスベンチュラスにいるのに。これはたいへん間違っている。
PCオリジナル版にMODを導入する遊び方は、当時の雰囲気を大切にしたいコアなファンにとってはベストな選択肢だと改めて感じます。もし、昔を懐かしんで、あるいは遊んだことが無いけれどこの名作に触れてみたいと思っている方がいれば、ぜひオリジナルを、PCで、MOD山盛りにしてのプレイをおすすめします。
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