原神のプレイ日記です。今日は、往生堂七十七代目堂主たる胡桃(フータオ)さんの伝説任務「彼岸蝶の章・第一幕」をプレイしました。

プレイするきっかけ

胡桃は以前からちょっと気になっていたキャラでした。妙にシュールな動画が作られていがちだったり、えっちな絵が描かれがちだったり。

記憶している限りの初遭遇。どうやらだいぶ戦闘が強いキャラらしい。腹を抱えて笑った。

なぜフリーナさんと一緒に踊っているのか?

“Damn Hitler san, where do you get all of those six million customers?”

“Ssshh, don’t worry about it”

マズイですよ!!!


そんなわけで、ネットでの人気ぶりから興味はあったものの、キャラクターの魅力にハマってしまうとガチャ欲が刺激されそうで、なかなか伝説任務に手を出せずにいました。

しかし、最近の原神熱の高まりもあり、ついに意を決してプレイしてみることにしました。

伝説任務の内容

なかなか面白かった!原神のクエストって全体的に当たり外れが激しい気がするのですが、このクエストは十分「当たり」でした。

ストーリーはとても魅力的で、胡桃がこれほど人気なのも納得です。トリッキーでイカれた言動が目立ちますが、その根底には往生堂堂主としての確かな哲学や死生観が感じられます。声優さんの演技も素晴らしく、胡桃のキャラクター性をより際立たせていました。

特に印象的だったのは、セリフ回しの心地よさです。原神では時折、セリフのスピードや間の取り方に違和感を覚えることがあるのですが(多言語対応の都合もあるのかもしれません)、胡桃に関してはそういった不満は全くありませんでした。リズミカルな口調で、聞いていて非常に楽しかったです。

ゲームプレイ自体はいつもどおりのおつかいクエストでまあ…って感じだったので置いておくとして、ストーリーはとても魅力的でした。フータオさんがこれだけ人気なのも納得。かわいい。太ももがえっち。

あと興味深かったのが、「ヒルチャールのお兄ちゃんが病気になって…」という謎の童謡?をフータオさんがキャラクター画面で歌っていたことです。

望舒旅館あたりのランダムなクエストで遭遇した幽霊の少女が歌っていたのと同じ童謡のようだったけど、あれは一体何だったんでしょうね?

英雄の旅にこじつけてみる

さて、ここからは少し踏み込んだ考察です。伝説任務は、キャラクターの魅力を伝え、プレイヤーにガチャを促す、いわば宣伝のような側面を持っています。その上で、胡桃の物語がどのように構成されているかを考えてみました。

例によって「英雄の旅」を使っていきます。これは、神話や物語によく見られる構造をパターン化したものです。この観点から見ると、胡桃は旅人(英雄)にとって、生と死の「境界の守護者」であり、同時に未知の世界へ導く「超自然的助力者(メンター)」のような役割を担っているように見えます。

彼女は旅人に対して、死者の魂の行方や、生者と死者の関わり方といった「死」に関する知識を授けます。そして最後に、秘境という試練を与え、それを乗り越えさせることで、旅人を「死者の世界(あるいはそれに隣接する場所)」へと導きます。

さらに興味深いのは、胡桃が秘境を「平凡な地」と呼ぶ点です。英語版では “ordinary place” となっています。「英雄の旅」では、物語の始まりの場所を “The Ordinary World”(日常世界)と呼びます。

偶然? 私はそうは思わない!

シナリオライターが「英雄の旅」の構造を意識していたのは明らかです。「平凡な地」という言葉に、死が決して特別なものではなく日常の延長線上にある、という胡桃の死生観を重ね合わせたのかもしれません。

原神の伝説任務では、時折「これは主役キャラの話というより、登場するNPCの物語では?」と感じることがあります。その原因は、キャラクターに「英雄の旅」におけるメンターや守護者の役割を与え、その役割を通してキャラクター性を描こうとしているからかもしれません。メンターや守護者は非常に重要な存在ですが、物語の主役になることはあまり多くないように思います。

しかし、胡桃の伝説任務が成功しているのは、彼女が単なる「役割」に留まっていない点でしょう。旅人を導くメンター/境界の守護者としての役割を果たしつつも、往生堂堂主としての責任感、独特のユーモア、死者への敬意、そして時折見せる寂しさのようなものまで、胡桃自身の多面的なパーソナリティがしっかりと描かれていました。

要するに、キャラが立っていたわけです。

それゆえプレイヤーは「NPCの物語」ではなく、「胡桃自身の物語」としてこれを捉えることができ、結果、胡桃さんのことが強く印象に残ったのだと思います。彼女はこの物語における確かな「主役」でもあったのです。

さいごに

というわけで、胡桃さんの伝説任務彼岸蝶の章・第一幕「如何にして蝶は去り」は、期待以上に満足度の高い体験でした。トリッキーで掴みどころがないようでいて、根は真面目でプロフェッショナル。生と死の境界を軽やかに飛び越えるような言動の中に、確かな哲学を持っている。そんな胡桃のキャラクター性が、練られたストーリーと演出、そして素晴らしい声の演技によって、見事に表現されていたと思います。

「英雄の旅」という切り口で見てみると、原神のシナリオライターがキャラクター造形や物語構成において、そうした普遍的な物語構造を意識しているように思えてなりません。それが上手くハマった時、キャラクターは単なる役割を超えて、プレイヤーの心に深く響く存在になるのでしょう。そして、胡桃さんはそれに成功した例でした。もう少し打率を上げていただきたいところですが。

胡桃さんがこれほど人気なのも、彼女のキャラクター性がしっかりと描かれているからだと思います。今後も何かしらのイベントで会いたい。戦闘強いらしいし。

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