フォンテーヌの魔神任務を完了した感想
魔神任務第4章、すなわちフォンテーヌ編を完了しました。その感想です。
スメール編を完了しフォンテーヌにたどり着いたのが2024-11-06なので、およそ5ヶ月ぶりの進捗になります。途中で燃え尽きて2ヶ月くらいプレイしていない期間があったりしたためです。
私の原神のモチベが「フォンテーヌでフォンテーヌの戦闘曲を聞く」ことだったので、それが達成されてしまったことでプレイする動機を失っていたのです。
加えて、フォンテーヌは、私が原神を始めたタイミングで実装されていた最後のエリアでした。それ故、「RPGでラスボスを倒せない病」みたいなのが発生し、途中で放置してしまっていました。
しかし、これをクリアしなければ、コミュニティが作成したVer4.0以降のコンテンツをネタバレの恐怖に怯えずに楽しむことはできません。そして、二次創作には何故かやたらフリーナさんが出てきます。
(元ネタはこれ)
そんなわけで、腹を括って最後までやりきることにしました。
フォンテーヌ編が一番ストーリーが良いという話は各所で聞いていましたが、実際そうでした。
この記事にはフォンテーヌ編のネタバレを含みます。
時系列に沿った感想
時系列順に感想を書いていきます。
第1幕 白露と黒潮の序詩
- フォンテーヌに到着。
- 予言の内容を知る。
- この地域の神であるフリーナとの対面。
- 歌劇場での殺人事件と逆転裁判。
事前情報として「フォンテーヌはフランスをベースとした正義と公平の国であり、水神フリーナが統治している」ということのみを知っていました。ほぼネタバレなしでプレイできたというわけです。
この地域に到着して最初に驚かされたのが、国の設定でした。裁判が歌劇場で行われ、人々はそれを演劇として楽しんでいる、そしてその筆頭がこの国の神であるフリーナである……というのは控えめに言ってもかなり悪趣味です。ギロチンと革命の国であるフランスをベースとしているという点に由来する不穏な空気を加速させます。
思えば、フォンテーヌはずっと不穏というか、物語全体にわたってかなりダークな雰囲気が漂っていました。メインクエストの中で「死」という言葉や概念が出てくることはこれまでも何度かあったはずですが、特にフォンテーヌでは現実的な死の描写が多かった気がします。これまでのシナリオでは、一般人の死が明確に描かれることはあまりなかった一方、フォンテーヌでは一般人がゴロゴロ死にます。その最初のインスタンスが第1幕でした。
唐突に炉の家(ハウス・オブ・ハース)が出てきて、リネとリネットがそこに所属していたことに旅人がガチギレしてたのはちょっと困惑しました。ボーっとしててシナリオを見逃したのかとクエストログを振り返ったものの、特に理由がわからず。他のクエストを事前にやっておく必要があったのでしょうか?
第2幕 ゆえなく煙る霧雨のように
- ナヴィアとクロリンデの背景を学ぶ。
- 連続少女失踪事件の裁判。
- 「公子」の有罪判決。
原始胎海の水を使ったナヴィアの暗殺未遂とか、決闘の中でナヴィアの父はクロリンデに殺されたとか、そもそもこの幕の主題である失踪事件の真相とか。この幕も死の匂いが充満した重苦しいものでした。
事件の犯人であるマルセルについても、彼にも事情があったのだから許してあげようねみたいな流れになるのかと思いきや、最終的に犠牲者の怨念(?)によって殺されるというのは衝撃的でした。この国では死刑が執行されたことが無い…みたいな話をどこかのNPCから聞いていたので尚更です。
第3幕 深海に煌めく星たちへ
- メロピデ要塞での潜入調査。
前幕から2ヶ月くらいの間を空け、ここからはこの1週間でプレイした内容になります。なのでスクショが豊富です。
なぜ連番じゃないんだ。Typoなのか、この一瞬に100人が投獄されたのか…… 英語でもそうらしく、疑問に思っている人がいた。
メロピデ要塞編はかなり面白かった。最終的にはいつもどおりの一本道クエストではあるものの、行動によって増減する調査用特別許可券のシステムは、実際に囚人として潜入して自由に調査を行っている感覚を演出するのに大きく貢献していたと思います。
没入感を高めるため、この幕の間はメロピデ要塞を離れずにプレイしました。樹脂は多少無駄になりましたが、それだけの価値はあったと思います。
かわいい。
第4幕 胎動を諭す終焉の刻
- 調査結果を用いた逆転裁判。
- 原始胎海でフォンテーヌがヤバい。
- フリーナの神格に対する疑問が加速。
フィナーレへ向けての助走という感じのセクション。メロピデ要塞の食人族に関する噂を、調査結果を用いて打破していく。トリック自体はまあまあという感じだったものの、没入感の高い調査パートをじっくりやったこともあり、結構楽しかったです。
リオセスリのムービーはカッコよかったものの、せっかく3枚ある隔壁のうち2枚を無駄にしてしまったのは如何なものかと思った。
シグウィンさんの誕生日メールがちょうどプレイ中に届いたんですが、ついさっきまでメロピデ要塞は大変なことになってませんでしたっけ?
あとこれは感想ですが、シグウィンさん、ただのかわいいロリキャラかと思ったら結構ヤベーやつで面白かった。メールの内容もあまり穏当なものではない。
第5幕 罪人の円舞曲
- ポワソン町の災害。
- フリーナに対する裁判。
- 真相の解明。
大変良かった。正義の国の法廷で、その神を告訴するとはなんとロマンチックな展開か。
法廷に入っても調査ログが出てこないので、逆転裁判システムなしに終わってしまったらどうしようとヒヤヒヤしていましたが、しっかり逆転裁判させてくれたのも良かった。その上、突きつけられる証拠の候補がフォンテーヌで体験した全ての出来事だというのも激アツ。逆転裁判システムを用いたゲームプレイとシナリオの一体化が見事でした。
明かされる真相も、カタルシスと伏線回収に溢れており素晴らしい。この国に来て最初の驚きポイントである、「なぜ裁判が歌劇場で行われているのか」という疑問すらも見事に回収してくれて、なるほど!となりました。
きわめてシリアスな場面でも自撮りは欠かさない。
ロア考察
クエスト中は演出に圧倒されて話の展開についていけなかったので、改めて何が起きたのかを整理してみます。多分こういうことなのかな…?
予言について
フォンテーヌに古くから伝わる、先代水神エゲリアが遺したとされる予言は以下の通り。
フォンテーヌ人はみな生まれた時から『罪』を抱えている。
正義の国フォンテーヌがどれほど審判を行おうと、それが消えることはない。フォンテーヌの海面が上昇し、罪を背負いし人々が海水に呑み込まれるまで。
人々はみな海の中に溶け、水神は自らの神座で涙を流す。
そうして初めてフォンテーヌ人の罪は洗い流される。
また、この予言と併せて遺跡で発見された4枚の石板が存在する。
これは滅ぶべき国である。過去から、その未来の歴史を記そう
この予言と石板の内容は過去から未来の歴史であり、絶対に発生しなければならない。どう回避を試みても、必ずこの石板に描かれた通りの出来事が起こる。シュタインズ・ゲートみたいな感じで考えるとよいのだと思う。ただし、ここで観測者に相当するのは「天理」である。
それぞれの石板は、以下の歴史を示したものである。
1枚目の石板
- エゲリア(先代の水神)は、純水精霊たちの「陸上で暮らしたい」という願いを聞き入れた。
- しかし人間を創造する力を持たなかったため、「原始胎海の力を盗む」という方法を選んだ。
- エゲリアは純水精霊を人間の形に変え、原始胎海の水を体内に閉じ込めることで「疑似的な人類」を創造した。
- 故に、彼らが原始胎海の水に触れると、体内の水が解放されて元の純水精霊に戻ってしまう。
2枚目の石板
- エゲリア、ひいてはフォンテーヌ人は、原始胎海の力を盗んだことの罪を負った。
- これにより、必ず実現する滅亡の予言が天理によって与えられる。
3枚目の石板
ここまでは過去の歴史であり、3枚目以降は未来の歴史である。
- 予言の主張
-
人々はみな海の中に溶け
-
- 新たな解釈
- 水はフォンテーヌの「正義と審判」を表すものであり、これはフリーナが審判を受ける様子である。
4枚目の石板
-
水神は自らの神座で涙を流す。
フォカロルスの計画
では、現在の真の水神フォカロルスはどのようにして予言の回避を試みたのか?
彼女は「天理」を欺くことにした。つまり、予言と石板どおりのイベントが発生しつつも、フォンテーヌが滅びない計画を考えた。
この計画は、以下の2段階で実行された。
水神の神座の破壊による古龍の大権の返還
- フォカロルスは「人」と「神格」を分離し、人としての部分にフリーナという名前を与えた。
- フリーナは「神」を演じる役割を担った。彼女が神を演じている間、フォカロルスは諭旨裁定カーディナルとして裁判から生じる律償混合エネルギーを蓄積し続ける。
- このエネルギーの目的は「水神」の死刑、つまり神座(水神という概念自体と考えれば良さそう)を破壊して「古龍の大権」を水龍に返還すること。これは「水元素を掌握するための絶対的な力」を指す。
ヌヴィレットにフォンテーヌ人を真の人類へ作り変えさせる
- フォカロルスはヌヴィレット(水の龍王)をフォンテーヌの最高審判官の地位に招き、人間を理解させた。
- 彼は返還された力を用いて、全てのフォンテーヌ人の血液を真の人類と同じものへと変化させた。
- これにより予言の危機は回避され、フォンテーヌの未来は守られた。
疑問とその回答
これがこの事件の顛末である。
ということで、よくわからなかったポイントを改めてQ&A形式で整理してみる。
なぜフォカロルスはこの計画に500年も必要だったのか?
- フォカロルスは水神の座を破壊し、ヌヴィレットに本来の力を返す必要があった。
- しかし、神座を破壊するには莫大なエネルギーが必要で、そのエネルギーは諭旨裁定カーディナルを通じて500年かけて蓄積する必要があった。
- また、ヌヴィレットに人間社会で長い時間を過ごさせ、人間への愛着と理解を持たせることが必要だった。彼がフォンテーヌ人に無罪判決を下すことが確信できるまで、この計画は実行できない。
なぜフォカロルスは天理を欺く必要があったのか?
- もし運命を捻じ曲げようとする試みが発覚して天理を怒らせたら、何が起こるかわからないから。
- 天理が実はずっと息をしていないらしいというのは第6幕で明らかになるが、フォカロルスの視点ではそのことがわからない。仮にその兆候があったとしても、確信が持てない以上、全フォンテーヌ人の命を賭けるのはあまりにも危険である。
ヌヴィレットは何者で、彼の役割は何だったのか?
- ヌヴィレットは「水元素の古龍」であり、本来はテイワット全体の水元素を支配する存在だった。
- しかし、天理によってその権能は奪われ、水神(水神の神座を占有する者)に譲渡されていた。
なぜフリーナには力がない?
- フリーナはフォカロルスから分離された「人間としての部分」だから。
- フリーナが最も人間らしい人間として生きることは、フォカロルスの望みでもあったから。
総合的に思ったこと
裁判システムが良かった
このクエストの核になるゲームプレイ要素である、裁判システムがかなり面白かったです。原告の主張に対して、それと矛盾する証拠を突き付けることで新たな解釈が生まれ、物語が進んでいく。このシステム自体はギリギリ許されるレベルの逆転裁判のパクリでしたが、音楽がモロ逆転裁判風味で笑ってしまいました。
被告人控室BGM風の曲。
シリーズの中でもわりと新し目な方の、落ち着いた感じの尋問BGM風。
これらの曲が、逆転裁判シリーズのBGMの影響を確かに受けていることは、以下の動画からわかるはず。
原神の――というか多くのRPG、なんならほぼ全てのゲームで極めて重要な問題として、ゲームプレイとシナリオをいかに融合させるかという点があります。雑に言ってしまえば、ゲームシステムが好きなプレイヤーはシナリオに興味がないので全部飛ばしてしまうし、シナリオが好きなプレイヤーはゲームプレイを単なる障壁としか思えない。突き詰めれば、前者はRTAに、後者はクソつまらんゲームシステムが付随しているガチャゲーみたいなものになってしまいます。
原神はこれまでこの点でかなりイマイチな印象だったのですが、それが逆転裁判のシステムをパクることで見事に解決されたように思いました。シナリオをちゃんと追いかけることが、華麗にプレイすることに貢献する仕組みになったわけです。
フランス的要素の取り込みが秀逸
自分は世界史が苦手ですが、フランス革命がバスティーユ監獄から始まったこと、その過程で王がギロチンで処刑されたことくらいは知っています。
魔神任務の終盤の展開は、まさにこの歴史をモチーフにしたものでしょう。メロピデ要塞(=監獄)からドラマが始まって、民の不満が高まり、最終的に水神が処刑されるわけです。
最後の最後で気づいたんですが、エピクレシス歌劇場のこれって明らかにギロチンですよね。
さて、メロピデ要塞といえば、形状がパノプティコン風味になっているのも良かったです。パノプティコンを発明したのはイギリスのベンサムながら、
マザス監獄やレンヌ中央監獄などに代表される19世紀フランスの監獄建築に、パノプティコンの思想をみることができる。フランスの哲学者ミシェル・フーコーは『監獄の誕生 監視と処罰』で、管理・統制された社会システムの比喩としてパノプティコンを紹介した。
らしいので、これもしっかりフランス要素です。
フォンテーヌのキャラクターが愛されるのも納得
全体的にダークな雰囲気が漂い続けるシナリオだったのは前述のとおりですが、特にナヴィアとフリーナが不憫過ぎる。不憫な子には空想の世界だけでも幸せになってほしいと思うのは世の常であります。
こんなに良いシナリオなら、石を全部使い果たしてでもフリーナさんを引いておくべきだった。強いらしいし。50連くらいしたのですが、50/50に負けてジン団長が来てしまって諦めたのです。
「原神の魔神任務は人類の信仰の発達段階を逆順に辿っている」仮説
人類の信仰には特定の発達段階がある、という説が存在する。どの文化圏の宗教も、共通のコースを辿るらしく、かいつまんで言えばこの説は以下のようなことを主張しています。
人類に信仰が芽生えたとき、最初に信仰されたのは母性的な神だった。 原始的な共同体において、人々は自然の富の授与者としての「地母神」への信仰を中心としていたからだ。生命を産み出し、破壊する女性の力への畏怖が、この母神信仰の根源にあった。 母性的な神は、全ての人に無条件の愛と利益を与える。裏を返せば、追加の富を求めたくとも、そのような手段が人間には存在しない。
しかし社会が発展するにつれ、父性的な神がそれに取って代わるようになる。 社会の複雑化に伴い、社会的なルールの根拠を与える神が必要になったからだ。 父性的な神は、ルールを守る人にのみ愛と利益を与え、そうでない者を罰する。
現代では、本当の意味での信仰は多くの人々から失われた。 神に代わって、人々は人造の思想を信仰するようになった。 利益は飽くなき生産拡大と消費がもたらすものである。
…さて、振り返ってみると、どうやらフォンテーヌに至るまでの各地域の神は、ちょうどこの発達段階を逆順に辿っているように思えてならないのです。
- 母性的な神(良): ナヒーダ
- 母性的な神(悪): 雷電将軍
- 父性的な神: 鍾離
- 神の不在: ヴェンティ
だとすると、フォンテーヌでは更に前の段階の神が描かれるわけですが、「信仰の発達段階」説に則るならば、それは人類に信仰が芽生えるより前ということになります。そして実際、フォンテーヌでは民がフリーナの神性を疑う、つまり信仰を失う様子が描かれました。仮説通り、信仰の逆発達が続いてしまったわけです。
さらに前の発達段階となると、もう全くわかりません。信仰の芽生えの前のステージが人類の誕生だとすれば、次の魔神任務で描かれるのは人類が滅ぶ過程なのかもしれません。
……ナタでは一体何が起こるんでしょうね?
さいごに
フォンテーヌ編は原神の魔神任務の中でも特に完成度が高いストーリーでした。 スメールの花神誕祭編がガッツリホラーSFって感じで一番没入感が高く好みだったのですが、それを上回ってきた感じです。
クソデカクジラと「公子」の件にちょっと雑さを感じたり、システム上必須ではないクエストを事前に体験しておかないとついて行けない箇所があるのは没入感を削ぐ残念な点ではありましたが、それでも全体的には十分満足できる内容でした。
逆転裁判システムの模倣も、単なるパクリではなく、「弁証法的に真実を明らかにしていく楽しみ」的なところまでしっかりと体験の本質が深堀りされているのが素晴らしい。この形式を発展させて、ついには運命を捻じ曲げるところまで行ったわけですが、これは 巧舟の『ゴーストトリック』にも繋がるところがあると思いました。だいぶ記憶が薄れてきたし、久々にやってみようかな。
フォンテーヌ編クリアを記念してガチャを引いてみたところ、ついにフィッシュルさんが来てくれた図。キャラも戦闘能力も気になっていた方なので、めちゃくちゃ嬉しい。
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