toki ponaの文法が30分でわかる動画を作りました。ぜひ視聴してみてください。
この記事では、この動画の制作の裏側について語ります。
なぜ作った?
この動画を作った理由は3つあります。
日本語の学習素材が少なすぎる
第一に、日本語のtoki pona学習資料があまりにも少なかったから。自分が知る限り、文法を網羅している日本語で書かれたレッスン記事は、現時点で存在しませんでした。部分的に説明している資料はそこそこあるものの、2025年時点でのコンセンサスが取れている文法からは少しズレているように感じていました。
また、sitelen pona と合わせて単語を紹介してくれる日本語の資料は現時点で(ほぼ間違いなく)存在しませんでした。動画でも説明した通り、sitelen pona は表意文字なので、少なくとも漢字に慣れ親しんだ日本人にとっては絶対に並行して学習した方がわかりやすいはずです。
sitelen pona 併記のわかりやすさは、以下のレッスンを読んで感じました。英語が読める方はこれも参考にすると良いと思います。
manim を使ってみたかった
第二に、manimを使ってみたかったから。この動画はほぼ全てmanimによって作成されています。

もともとは数学系Youtuberの3b1bさんが開発したものでしたが、オープンソース化されて誰でも使えるようになっています。現在はこのコミュニティエディションを使うのが良いみたいです。
生成AIの時代になり、動画を作るにしても、専用のGUIツールの使い方を学ぶより、コードベースで作成する方が学習しやすいし、AIに作業を任せられるようになったなと感じています。そこで、今回はmanimを使って動画を作成することにしました。
実際、動画の原稿は単一のJSONファイルによって管理されています。
{
"タイトル": "",
"例文": [
{
"sitelen": "luka6 .9 tu6 tu6 .9 tu6 wan6 .9 tu6 .9 wan6 .9 ala6 !9 ala6 !9 ala6 !9 ",
"日本語訳": "5, 4, 3, 2, 1, 0! 0! 0!"
},
{
"sitelen": "mi1 jo2 e0 kili3 luka6 luka6 wan6",
"日本語訳": "私は11個の果物を持っています (5+5+1 = 11)"
},
{
"sitelen": "utala1 nanpa6 mute6 mute6 luka6 luka6 tu6 wan6",
"日本語訳": "53番目の戦い(20+20+5+5+2+1 = 53)"
}
],
"注釈": "",
"字幕": "数を表すこれらの単語は最優先で結びつきます。\nこれまでの文法規則の例外となるので、pi は不要です。",
"表示時間": 5,
"音声ファイル": "155"
},
この原稿データを元に、Manim側でよしなに動画アニメーション指示を行わせることで、手動による位置やタイミングの修正といったクソ面倒な作業から開放されました。しかも、Gemini-1.5くらいの時代から、toki ponaの文法知識もある程度正確に答えてくれるようになったようで、few-shotで例を示せば、単語の色付け(単語の末尾の数で表しています)もかなり高い精度でやってくれていました。
自動化自体もある程度手間でしたが、これだけ長い動画なので手動でやってたら間違いなく心が折れてたと思います。
luka sama mi を理解してほしい
この動画より前に、toki ponaを使って初めてのボーカル曲制作に挑戦しました。
toki ponaを使ったのは、日本語で歌詞を書くのは恥ずかしいからです。一方で、誰も理解してくれないのはそれはそれで寂しいものです。
そんなアンビバレンツな思いの結果、トキポナレッスン動画を自前で作ってしまえ、となったわけです。
前置詞の説明長すぎない?
この動画では、前置詞の説明にめちゃくちゃ時間を割いています。なぜかといえば、私自身が前置詞に一番戸惑ったからです。
なぜona li tawa e tomo
ではなくona li tawa tomo
なのか。これがずっとよくわかっていないままでした。英語圏で調べると自動詞と他動詞の違いだとか説明されることが多いようですが、ピンときません。
しかし、前置詞句がダイレクトに述語になるというふうに理解したときに、ようやく腹落ちしたのです。これによってtoki ponaを完全に理解したという気持ちになり、動画を作る自信がつきました。
toki pona は英語圏のユーザーが最も多く、そのため英語的な発想が文法にかなり侵食しているように感じます。それ自体は良いことでも悪いことでもないのですが、日本語話者的にはちょっと辛い点だなと感じます。
なぜ爆弾解体?
第8章まで作ったところで、最後に卒業試験として長文読解問題を取り入れたいと考えました。 また、第8章では数の説明として
luka. tu tu. tu wan. tu. wan. ala ! ala ! ala !
5。4。3。2。1。0! 0! 0!
という文が登場します。これ自体は完全におふざけだったのですが、これをずんだもんのささやきボイスで聞いてみたいと思いました。
そこで、
- 長めの文を読まないといけない
- 数、色、並列表現の理解を確認できる
- 最後にカウントダウン要素がある
問題として、 Keep talking and nobody explodes を toki pona でやったら面白いんじゃないかというアイデアに至ったわけです。
なぜ30分?
もともと、この動画を30分ピッタリに収めるつもりはありませんでした。しかし、卒業問題まで作って、ずんだもんに読ませて音声ファイルを作ったところ、爆発までの時間がおよそ32分となったのです。
せっかくなら30分ピッタリに収めよう、そして30:00ジャストで爆弾が爆発するようにしよう、ということでいくつか例文を削除し、今の形になりました。
BGMチョイスについて
luka sama mi がこの動画の背景にあることは説明したとおりです。できるだけ多くのBGMがこの歌のテーマに合致するようチョイスしました。
例外についてはここで釈明します。
Master of Epic - BREEZE OF MIRIM
- MoEの中でもトップレベルにこの曲が好きだから。
- 30分という時間制限を意識してほしかった。
The Elder Scrolls V: Skyrim - Far Horizons
- 好きな曲の中で、ちょうどいい長さのものがこれしか無かったから。
- MoEから続けて、オープンワールド的な音楽がいいかなと思った。
I.Q. Final - The 2nd Tide
- 好きな曲だから。
- 後半戦感を出したかった。
Genshin Impact - Rite of Battle
- 好きな曲だから。
- Lamentation et Triomphe のための助走として。
- モンドの曲ならテーマとある程度合致するから。
Genshin Impact - Lamentation et Triomphe
- 原神の戦闘BGMの中で最も好きな曲だから。
- シムランカで、制限時間以内にN体倒せ系のチャレンジが何度やってもクリアできなかった。
- しかしレベル上げと元素反応の理解によってようやくクリアできた。
- この体験がとても楽しく、忘れられない思い出になっている。
- それ故、この曲を聞くとなんとなく焦るというか、制限時間というものを意識してしまうのです。
↑問題のチャレンジ。
特に Lamentation et Triomphe を爆弾解体のテーマとしたのは大正解で、我ながら視聴していて惚れ惚れしてしまいます。
さいごに
やっぱり動画を作るのは楽しい。今後もぼちぼち作っていきたいです。
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