バイオリンを久しぶりに演奏してみた日記です。
なぜ今、バイオリンなのか
最近、10年ぶりにギターを再開したり、友人が新たに楽器を始めたりと、自分の中で音楽への熱が再び高まっている。そんな中、ふと「バイオリンをもう一度弾こう」と思い立った。
私はバイオリンという楽器に対して、複雑な感情を抱いている。2歳から習い、一度は挫折し、それでも高校・大学と断続的に続けてきたものの、最後は一人で完結できるDTMの道へ進んだ。以来、バイオリンは「挫折」や「大成しなかった才能」、ユングの言う「影(生きられなかった自分)」の象徴であり、正直に言って好きではなかった。
そんな私が、なぜ十数年の時を経て、再びバイオリンと対峙する気になったのか。
きっかけ
3日前、サックスを始めた友人とセッションするための曲を探していて、ふと「東方緋想天」の音楽を思い出した。
緋想天のOPテーマを聴くと、どういうわけか毎回、特定の視覚が再生される。中学時代の夏の情景だ。程よく強い日差しの中、友人と校庭を歩きながら、風に揺れる国旗と校旗を見上げている。あの瞬間の視界がフラッシュバックしてくるのだ。
なぜこの曲がこれほど心を揺さぶるのか。もちろん、ポート開放がうまくいかず、BGMとして最も長く聴いていたという個人的な思い出もある。しかし、楽曲そのものに目を向ければ、その魅力の核は間違いなく、美しいバイオリンの旋律にある。
この再会が、忘れかけていた人生のタスクを思い出させた。「生きられなかった自分(影)」がいるのなら、それと向き合い一体化せよ、というのがユングやジョーゼフ・キャンベル、千代田桃の教えだ。私は、自身の影を象徴するバイオリンと和解しなければならない。
私と東方
緋想天は、自分の中で何か特別な位置を占めた作品となっている。好きなゲームトップ3を挙げよと言われて緋想天が出てくることはまず無いにも関わらず、無意識的・意識的に人生に甚大な影響を与えているのは間違いない。
なぜ「東方緋想天」が私にとってこれほど特別な作品なのか。これが全くわからない。
しかし、もしかしたらそれは、緋想天こそが私の音楽的な体験の原点だからなのかもしれない。少し、私の音楽遍歴を振り返らせてほしい。
中学2年
友人たちとの「秘密結社ごっこ」で音楽的な何かをしようという話になり、親に電子キーボードを買ってもらった。その時、初めてピアノで演奏したのが「東方緋想天」のEDテーマだった。
高校2年
しばらく東方から離れていたが、高校の修学旅行中、そんなに親しいわけでもなかった友人(PCの授業の際に私が「ぱちゅコン」を遊んでいたのを後ろから見ていたらしい)から話しかけられ、東方の話で盛り上がり、関心が再燃。帰宅後、久しぶりに「東方地霊殿」をプレイし、Ex道中の「ラストリモート」に衝撃を受けた。
5年ぶりに電子キーボードを取り出し、「ラストリモート」を弾いてみた。すると、サビの部分だけ、なぜか左手の伴奏が驚くほど簡単に弾けたのだ。
その理由は、中学時代に弾いた「東方緋想天」と「ラストリモート」のサビのキーが一致しており、左手の運指(Eb→F→Gm)をすでに履修済みだったからだ。
この瞬間、私は「コード」という概念を発見した。これこそが音楽理論に興味を持ち、パソコンでオーケストラが作れるDTMの世界へ進む、決定的なきっかけとなった。
結論
つまり、私の音楽遍歴は「緋想天」と「地霊殿」という二つの作品に象徴される。後者についてはDTMという形で一旦の完了を見たが、前者、つまり緋想天が象徴するタスクは未完了のままだったのだ。
なんだかんだでバイオリンの音色は好きだ。DAWを開いて真っ先に起動するのはいつもバイオリン音源だし、心を惹かれる曲には決まってバイオリンがいる。
緋想天との再会は、この未完了のタスクと向き合うための、最高のきっかけをくれた。セッションの課題曲として「天衣無縫」が決定されたが、これもまた象徴的に興味深い点だ。
天衣無縫が演奏される有頂天は、緋想天における世界軸である。有頂天は地上の世界と天上の世界の連絡通路であり、天上の世界から流れ込んだ地震エネルギーを発端として、ほぼ全てのキャラクターが世界軸の復旧を目指すことになる。
世界軸は全ての時間の糸が絡まる特異点でもある(だからこそ、緋想天全体のストーリーは複雑怪奇に入り組んだグランドホテル形式になっているのかもしれない)。過去を振り返るにはあまりにも誂向きなポイントだ。
実践
決意を胸に、押し入れからバイオリンを取り出して弾いてみた。
かつてあれほど不快だった、弦を押さえる左手の痛み。しかし、ギターに慣れた指にとっては、バイオリンの弦のテンションなど無いようなものだった。記憶より遥かに簡単に、痛みなく弦を押さえられたことに驚いた。
……まあ、これは10年間張りっぱなしだった弦が寿命を超えてゾンビ化しているせいかもしれない。G線の開放弦を少し強く弾くだけで指板に当たってビビるくらいなので、本来のテンションでないのは確実だ。
ということで、今日はこれからバイオリンの弦を買いに行こうと思います。
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