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10万時間稼働して瀕死なHDDからの1000万ファイル救済計画
2025-10-13

きっかけ#

最近自宅サーバー運用を始めた。

色々と調べていたところ、ImmichというOSSがGoogle photo代替としてとても優秀らしい。

普段使いのPCのDドライブには、昔撮った画像も詰まっている。どこにあるか確認しようとしたのだが、どうもファイルエクスプローラーの動作が重い。フォルダを開くのに1秒以上かかり、画像を開くのには5秒以上かかる。

これは何かがおかしい。Geminiさんに聞いたところ、HDDの故障の可能性が高いとのこと。

CrystalDiskInfo を入れて確認したところ、なかなかの状況だった。

  • 代替処理済みのセクタ数: 8
  • 代替処理保留中のセクタ数: 1271
  • 回復不可能セクタ数: 214
  • 使用時間: 99824時間 (=11.4年!!)

Gemini先生いわく、「いつ一切アクセスできなくなってもおかしくないし、何ならすでにデータが失われ始めている」とのこと。これは良くない。

前提#

救済対象のDドライブ内には、15年くらいにわたって蓄積した970GBのデータがぐちゃぐちゃに入っている。7年前に乗り換えた旧PCからのデータも残っている。ぶっちゃけ見返す機会はそれほど多くないものの、過去の様々なプロジェクトの記録が失われるのは避けたい。他にも、取り込んだ音楽や同人誌、アニメ、映画、お宝(意味深)なども詰まっている。

またDドライブの他に、DTM音源とお宝が詰まった 2TB(内1TBを使用) の外付けHDDがある。この内容も、新たなHDDに統合したい。

そうなると、新たなHDDは最低でも2.5TB、今後更にデータが増えることを見越すとその倍の5TBは欲しい。

HDD探し#

幸い、Immichを入れるならHDDは1TBじゃ足りないよなと思っていたので、HDDを追加購入する心構えはできていた。しかも今はAmazonプライムセール中!

Gemini師と色々相談しながら、結局「【Amazon.co.jp限定】Seagate 内蔵 HDD ハードディスク 8TB NAS向け 24時間365日 3年保証 データ復旧3年付 CMR Ironwolf 国内正規代理店品 ST8000VN002 」を買うことにした。28800円。

↑アフィリエイトじゃないので安心してください。

セール中だったので、当初の予定よりも更に余裕を持った容量で買ってしまった。

1000万ファイル救済計画#

せっかくだし、ファイルをある程度いい感じに整理した上で移送することにした。

整理の方法は以下。おそらく使うであろうOSSを踏まえ、それに合った形で整理する。

  • 救済対象
    • 自分で撮影した画像、動画
      • Immichから閲覧することを想定
    • 取り込んだ音楽と動画
      • Jellyfinから閲覧することを想定
    • お宝
      • Stashから閲覧することを想定
    • 個人のプロジェクトや文章など
      • どうするか検討中
  • 削除対象
    • インターネットから容易に再入手可能なファイル、あまり重要でないファイル
      • アプリケーション等
      • ただし、画像や音楽など、いつ消されるかわからないファイルは救済する

死にかけのHDDへの負荷を減らすため、以下の手順を作成した。

  • 死にかけのHDD(0.9TB)の内容を全て外付けHDD(1TB/2TB)へコピー
    • この際、Gemini正大師の推奨でFastCopyを使った。
  • 外付けHDD内でファイルを整理
    • フォルダを一つづつ見ていき、救済対象の4つのフォルダへ移送あるいは削除の分類を行った。
    • この作業には徹夜で15時間かかった…
    • だんだん意識朦朧になって分類ルールがわからなくなっていったので、途中で仮眠を取った。
  • 新規購入した8TB HDDと整理済みデータが入った外付けHDDをサーバー機に接続し、lumineにマウント
  • rsync 現在サーバー機に接続されている1TB HDD→8TB HDD
  • rsync 外付けHDDの→8TB HDD ←イマココ
  • 現状Jekyllとかが見ているマウント先を1TB HDDから8TB HDDへ繋ぎ換え
  • 転送したファイルを整理
  • 8TB HDD 内のImmichデータ→1TB HDDのバックアップ設定をする
  • 死にかけのHDDを普段使いのPCから外す
  • 2TB外付けHDDを外す

今は外付けHDD→8TB HDDのrsyncが完了するのを待ちながら、この記事を書いています。10時間くらいで終わるはず…

と思ったら完了した。

ので、ここからは作業メモを取ることにする(最初から取るべきだった)。

移送完了#

外付けHDD→8TBHDDへの移送。5時間半くらいで完了した。

Terminal window
sent 1.48T bytes received 19.50M bytes 85.79M bytes/sec
total size is 1.48T speedup is 1.00
rsync error: some files/attrs were not transferred (see previous errors) (code 23) at main.c(1338) [sender=3.2.7]

しかし何かエラーが出ている。もう一度実行してみたところ、めちゃくちゃ長いファイル名のものが2つ失敗していた。Windowsのファイルシステムでは許容されるが、Linuxでは長すぎるファイル名だったためエラーが出た様子。たぶん大丈夫なので無視。

sending incremental file list:と出てから10分近く待たされた。

Jellyfinで見れるかな#

移送したファイルをjellyfin/配下によしなに配置。

音楽ファイルを画像や動画とごちゃまぜに配置してしまっていたので、以下のコマンドでフォルダ構造を維持しつつコピーした。ありがとうGemini神。

sudo rsync -av --progress \
--include='*/' \
--include='*.mp3' \
--include='*.flac' \
--include='*.m4a' \
--include='*.aac' \
--include='*.ogg' \
--include='*.wav' \
--exclude='*' \
/mnt/data/media/jellyfin/video/jellyfin-fromD/ /mnt/data/media/jellyfin/music/

成功を確認!アルバムデータがあるものはしっかりと反映されている。

そしてJellyfinは音楽プレーヤーとしても大変使いやすい。広告も押し付けがましいレコメンデーションも無く、本当に素晴らしい。

発掘メモ#

整理している中で、色々と面白いものを発掘できたのでメモしておく。

いりす症候群のOST#

プレイしたのは10年以上前になるだろうか。とても懐かしい。

そして改めて聴いてみたら、音楽がとんでもなく良いことに気づいた。

10時間ループがあったので、ドライブ内整理作業中はこれを聴いていました。過去の自分のあらゆるPC上での活動の記録を遡りながらこの曲を聴くのは、しっとりとしていてベタつかない、なかなか良い体験だった。

どうやら最近になって、海外でも発掘されつつあるっぽい。ブレイクコアへサンプルした以下の動画がきっかけの様子。

昔作ったボードゲームのルールブック#

学生時代はめちゃくちゃボードゲームにハマっていた。小規模ながらサークルを作り、そこで自作のゲームを作ったりもしていた。その名も『拝金主義ゲーム(仮)』。

仲間内ではなかなか好評だったので即売会にでも出すかという話もあったのだが、時間が取れずお蔵入りしたのだった。

百均に売ってる5色x20枚チップと、MtGあたりの適当なカードを使って2種x9枚のプロキシを作れば遊べます。良かったらぜひ。

「うんこ」を確認してしまった時にいかにポーカーフェイスを保つかがキモです。

カードはこんな感じで用意してください。

中学卒業時(?)のスライド#

USB遺物というフォルダの中に、中学生時代の写真があった。妙に画質が良く、自分自身が写っているものもあればそうでないものもある。

ちなみにこれは職場体験フォルダにあった画像の一部をトリミングしたもの。時代を感じる。

そして、このフォルダ内には不可解なリネームをされたいくつかの音楽ファイルもあった。

  • TUW.mp3
    • The Unsung War - Ace combat 5
  • TLoGM.mp3
    • The Liberation of Gracemeria - Ace combat 6
  • EMFIV.mp3
    • 笑顔の魔法(Instrumental Version) - ストライクウィッチーズ2

一体どこから来たものなんだと思いつつ、同じフォルダ内のpptxファイルを開いてみたら(おそらく)謎が解けた。

中学卒業直前の何らかのイベントで、3年間を振り返るスライドショーを出すことになった。当時、私は生徒会副会長かつパソコンの先生扱いされていたので、自分がそのスライドを作ることになった。USB遺物内にある画像は、スライド作成のために素材として教師や保護者から預かったものだ。

…ということのはず。

そしてこれらの音楽ファイルが奇妙なリネームをされているのは、好きな曲を流しつつ、教師に出自を悟られないようにする企みがあったものと思われる。

オタクの悪い癖の発露はそれだけにとどまらず、スライド内にも侵食していた。スライドは3年間のイベントを時系列で追っていく形式になっているのだが、各イベントのタイトルになるスライドが妙なのだ。

音楽の出自を踏まえれば、これはおそらくAce combat 6の画面のスクリーンショットだろう。たぶんグレースメリア。ミッション開始前のデモだと思う。あと数フレーム後に左下から戦闘機が出てくるはず。

ストライクウィッチーズ2期6話の切り抜きに違いない。

ストライクウィッチーズの切り抜きと音楽を、学年全体+保護者の居る体育館で上映するのはさぞ楽しかったでしょう。というか楽しかった記憶が蘇ってきました。

何なら、当時ストパン好きだった友人と「いかにこっそり混ぜるか」作戦会議をしていた気もする。

厨二病時代の黒歴史なのは間違いないものの、なんだか懐かしくてほっこりしてしまいました。高校時代の黒歴史フォルダはまだ見る勇気がありません。

さいごに#

瀕死状態のDドライブは明日PCから外して、これ以上寿命を削らないように保管する予定です。

人生の半分以上が詰まったドライブを整理するのはなかなか感慨深かったです。画像ファイルはもちろんのこと、音楽、MIDIファイル、昔作ったゲームとそのプロジェクトフォルダ、(今回は削除してしまった)フリーソフトなどなどから記憶が思い起こされ、デジタルな足跡を追う旅という感がありました。

正直98%くらいは残していてもしょうがないファイルなのですが、やっぱりこのデータが消えたらかなり凹むと思う。次はバックアップ戦略を考えねば。

皆様も定期的なHDDの健康診断をお忘れなく。

封面
示例歌曲
示例艺术家
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