10年くらい使い続けてきたGoogle Chrome。もはや生活の一部と言えるほど馴染んでいたブラウザから、思い切って「Zen Browser」に乗り換えました。
きっかけ
Chrome拡張機能を探していたところ、いくつかの発見がありました。
- 使っていない拡張機能が予想以上に溜まっていた
- より良い代替となる拡張機能を見つけた
- 新しい魅力的な拡張機能との出会い
などなど。これらの発見から、「拡張機能を一から見直そう」と考えていたのですが、そこで思い至ったのが「いっそのこと、ブラウザ自体を見直してみては?」という発想でした。
なぜZen Browserを選んだのか
新たなブラウザ選びにあたっては、いくつかの候補がありました。Firefox、Brave、Vivaldiなど、いずれも魅力的な選択肢です。しかし、最終的にZen Browserを選んだ理由は以下の通りです。
垂直タブバーによる快適な操作性
以前から垂直タブバーには強い興味がありました。現代のモニターは横長が主流であり、ブラウザのタブを上部に配置する従来の方式は、縦方向の貴重なスペースを圧迫しがちです。狭い縦方向のスペースを最大限に活用するには、タブを横ではなく、縦に並べる方が圧倒的に理にかなっています。
Zen Browserは設計段階から垂直タブバーを前提としており、その実装は非常に洗練されています。単に横置きを縦にしただけではなく、垂直レイアウトの利点を最大限に活かした設計になっています。
選択できるレイアウトの中にはタブバーの中にURLバーを配置するものもあり、これに設定することで、画面の上から下まで余すこと無くページの表示に使えます。
しかも、複数のタブを「Split View(分割表示)」することも可能。拡張機能を活用すれば他のブラウザでもできることでしょうが、ネイティブにこの機能をサポートしているのは大きな利点です。
この美しさを見よ!
Firefox系エンジンの採用
Zen Browserは、Mozilla Firefoxをベースとしたオープンソースのブラウザであり、そのレンダリングエンジンにはFirefoxと同じ「Gecko」を採用しています。
このため、豊富なFirefox拡張機能をそのまま利用できる互換性を持っています。
拡張機能の豊富さで言えばChromeの方に利があるような気がしつつも、高機能な拡張機能はだいたいChromeでもFirefoxでも展開されているし、Chromium一強の時代にちょっと反抗してみたいという気持ちもあります。
設計思想が気に入った
Googleへの抵抗という意味では、オープンソースなZen Browserは非常に魅力的な選択肢です。Googleのトラッキングから独立したブラウジング体験を提供し、プライバシーを重視した設計がなされています。
生成AIが急速に進化する現代において、あらゆるソフトウェアが大幅な変革期を迎えています。そんな中、真に革新的な機能は、大企業の製品ではなく、オープンソースコミュニティ主導のプロジェクトから生まれるのではないか、という漠然とした期待がZen Browserにはありました。
Zen Browserは、シンプルでありながら必要な情報が適切に配置された、非常に洗練されたデザインを採用しています。余計な運営側の「ゴリ押し機能」をいちいちオフにする必要もなく、装飾的な要素を最小限に抑えることで、コンテンツに集中しやすい環境を実現しています。まさに禅。
Chrome から Zen Browser に移行してみての感想
実際にZen Browserを使い始めて、その快適さに驚いています。
垂直タブバーは神
垂直タブバーは期待を遥かに超える快適さでした。なぜこれまで使ってこなかったのか不思議なくらいです。
特に、開いているタブの数が多くなるとその効果は顕著です。従来の横置きタブでは、タブが増えるにつれてどんどん表示が狭くなり、タイトルが読めなくなり、ついにはアイコンすら表示されなくなって、「右側のタブを閉じる」で全てをリセットする、といったことを繰り返していました。
Zen Browserでは、タブが縦に並ぶため、タブのタイトルが常に表示され、どのタブがどのページかを一目で把握できます。これにより、タブの切り替えが格段にスムーズになり、タブ迷子になることがなくなりました。
Split表示も神
複数のタブをSplit View(分割表示)できる機能は、複雑な調査や資料作成など、複数の情報源を参照しながら作業を進める際の効率を劇的に向上させてくれます。
例えば、公式ドキュメントとStack Overflowを同時に開いてコードを比較したり、記事を書きながら参照サイトを確認したりする場面など、2つのページを同時に表示しながら思考を深めたいタイミングは多々あります。そうした時に、別ウィンドウを開く必要がなく、同じウィンドウ内でタブをドラッグ&ドロップしたり、ショートカットキー一つで簡単に分割表示できるのは非常に便利です。
Glance 機能も神
Zen Browserでは、タブを重要度に応じて3つのグループに分けて管理できるみたいです。
- Essentials
- 常に開いておく必要があるタブ。このタブは自動でアンロードされない。
- 他のサイトに移行しない前提のページを開いておくのに便利。
- SNS、Webからアクセス可能なLLM、作業用BGMを流すためのYoutubeタブをここに入れておくと良さそう。
- 他のドメインへのリンクは常にGlance機能で表示される。
- ピン留めされたタブ
- 情報検索の前線基地的な役割を果たすタブ?
- ピン留めを行った地点にいつでも戻れる。
- 他のドメインへのリンクは常にGlance機能で表示される。
- 通常のタブ
- 特別な機能はない。一定時間非アクティブだと自動でアンロードされる。
通常のタブ以外では、他のドメインへのリンクが常にGlance機能で表示されます。これは、タブを開くことなくプレビューするというもの。開く前にプレビューすることで、無駄なタブを開かずに済むので、うまく使えばタブバーがごちゃごちゃすることを回避できます。
課題点
一部の操作方法の習得には、従来のブラウザからの慣れが必要です。
パフォーマンス面では、現在のところChromiumベースのブラウザに若干劣るというベンチマーク結果もあります(約15-20%の差)。しかし、これはGeckoエンジンの性質上もある程度は許容範囲であり、今後の最適化に期待したいところです。
WidevineベースのDRMコンテンツ(Netflixなど)の再生がサポートされていない点は、残念ながら現時点での制約です。Zen Browserがオープンソースで個人開発に近い形態であるため、DRMライセンス料の$5,000が大きな障壁となっているようです。
Chrome専用の一部の拡張機能は動作しない場合がありますが、Firefox拡張機能の豊富さで十分カバーできます。
これらの課題点はあるものの、全体的には非常に満足しています。活発なオープンソースプロジェクトであるため、今後のアップデートによるさらなる機能向上と安定性向上に大いに期待が持てます。
現在導入している Zen Mod と拡張機能
私のZen Browser環境を支えている、現在導入しているZen Modと拡張機能をご紹介します。
Better Find Bar (Zen Mod)
- ページ内検索機能の強化。
Audio Indicator Enhanced (Zen Mod)
- 音声が流れているタブをより一層強調表示する機能。
- この音は一体どこから流れてるんだ???が無くなる。
uBlock Origin
- 広告ブロックの定番。Zen Browserでもそのまま使えます。
没入型翻訳
- バイリンガル表示できるページ翻訳拡張機能で一番良かった。
Hover Zoom+
- 画像をホバーすると拡大表示してくれる。
- たまにウザいが、便利な場面のほうが多い。
Web Highlights: PDF & Web Highlighter + Notes
- PDFやWebページにハイライトを付けて、メモを残せる拡張機能。
- ハイライトを付けた部分は後から簡単に検索できる。
Enhancer for Youtube
- Youtubeの機能を充実させる。
- コメント欄を見に行くと自動でPiPモードにしてくれるのが便利。
Sponserblock for Youtube
- 動画内のCMをスキップする。
Return Youtube Dislike
- Youtubeの動画の低評価数を表示する。
BlockTube
- Youtube内のコンテンツの一部を表示しないようにする。
- 特定のチャンネルをブロックすることも可能だが、自分はShort動画や勝手に作成されたプレイリストを非表示にしている。
- 長く動画を流していると「観てる?」みたいなポップアップが出てきて動画が停止してしまうことがあるが、これを防ぐことも可能。
やたらYoutubeの拡張機能が多いですが、こんな感じで大変快適です。
まとめ
「拡張機能の整理」という小さなきっかけから始まったブラウザの見直しでしたが、結果的にZen Browserという素晴らしい選択肢にたどり着くことができました。
Zen Browserは、プライバシー重視、高いカスタマイズ性、そしてコミュニティ主導の活発な開発という、現代のブラウザに求められる要素を高いレベルで実現しています。
特に、垂直タブバーやSplit表示機能は、作業効率を大幅に向上させること間違いなしです。騙されたと思って使ってみてください。
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