TV Tropesは、物語にありがちなお約束やあるある(Trope)を収集することを目的とした英語の Wiki だ。
これがかなり面白くて最近よく読むので、そもそもこのサイトは何かをまとめておく。
Trope(トロープ) とは
Wiki の Tropeの記載を翻訳してしまおう。
どこかで見たことがあるような…。
メリアム-ウェブスターの辞書では、Trope を「修辞技法」として定義しています。ストーリーテリングにおいて、「型」とはまさに以下の様なことです。 - 観客がすぐに認識し、理解できるコンセプトのためのストーリーテリングの技法。
とりわけ、Tropeは慣習です。プロットのトリック、設定、物語の構造、キャラクターのタイプ、言語的慣用句など、見ればすぐにわかるものです。Tropeは本来、ストーリーを乱すものではありません。しかし、Trope自体が邪魔になり、技法としてではなく、見る人の気を散らすようになったとき、それはクリシェ(お決まりのパターン)になってしまいます。
特にこの Wiki では、Tropeはストーリーテリングにおけるより一般的な意味を持っています。メディア作品自体の中の出来事だけでなく、創作の舞台裏やメディアの技術的特徴、ファン体験などの関連する側面までを含みます。ストーリーテリングとは、単に物語を書くだけでなく、物語を創り、伝え、見せるというプロセス全体を指すという考え方です。
語源的には、Tropeはギリシャ語で「転回」を意味します。注: つまり、文学におけるトロイプとは、「フレーズの転回」のことでした。もちろん、この言葉の意味するところは当時より拡大しています。
つまり、Trope とは物語を作る上での型である。「トラックに轢かれた陰キャが異世界転生してかわいい女の子に囲まれる」のも Trope だし、「英雄は非日常の世界に旅して霊薬を持って帰還する」も Trope である。
そして、そういった物語の型を類型化してまとめているが TV Trope である。
こりゃ読み耽るしか無くないですか?
TV Tropes とは
TV Tropes の記事は、主に作品の個別ページと Trope の個別ページから構成されることを念頭に置くと読み進めやすい。
- 作品のページには、作品の概要と、関連する Trope がどう使われているかがリストアップされている。
- Trope のページには、Trope の概要と、それが観察できる作品がリストアップされている。
TV Tropes は、元々『バフィー ~恋する十字架~』という海外ドラマを専門に扱うサイトだった。しかし最近では映画から漫画、インターネット上の出来事まであらゆる物語を取り扱っている。
記事の掲載基準は設けられていないので、日本で言う Wikipedia よりはニコニコ大百科的な雰囲気の場所になっている。
まちカドまぞくの例
The Demon Girl Next Door(まちカドまぞく) の記事を試しに見てみよう。
記事の上部には簡単なあらすじと作品概要が載っており、そこから下にはズラーっと関連する Trope がアルファベット順で並んでいる。
上から 2 つだけ翻訳して紹介してみよう。
Abandoned Hospital Awakening - 廃病院での覚醒
5 巻冒頭でゾンビアポカリプスと共に発生。リリスによるひどいフィクションドラマの一つに過ぎない。
一般的な意味
廃病院での覚醒とは、その名の通りキャラクターが廃病院で目覚めること。
他のジャンルでも見られるが、特にホラーで好まれる選択肢。目覚める病院は大抵の場合、最近起きた何らかの災害によって放棄されたものだったりする。これによって、そもそもなぜキャラクターがここにいるのかを説明するのを助けてくれる。
どういうわけかゾンビアポカリプスで特に人気。
上位トロープに「廃病院」「知らない場所での目覚め」が存在。
Abandoned Warehouse - 廃倉庫
桃がシャミ子を訓練するために使った廃工場は、過去のいくつかの重要なイベントに関係していたことがやがて明らかになる。まずは桜とウガルルの対峙。そして最終的に 2 人が封印される事になった何らかの出来事。
一般的な意味
丘の上にある「デカいけど打ち捨てられた家」が「超自然的で不気味」と主張するのと同じ音量で、 廃倉庫は「喧嘩しようぜ」と主張する。
もし親切な敵が「廃倉庫で会おう」と言ってきたら、おそらくその時点で「親切」の部分は捨ててしまって良いだろう。
倉庫のシーンで誰も銃を撃たないか少なくとも振り回さないなら、大抵の場合それが単に子供向け番組だからというだけのことだ。その場合でも、その番組が必要とする弱体化された何らかの魔法的な戦闘力が関係することに変わりない。
考察
一般的な意味を読むと完全に『まちカドまぞく』じゃん!となりませんか?でもこれらは Trope であって、特定の作品を参照しているわけではないのです。
そしてこれは個人的な見解だが、まちカドまぞくではこういった Trope の使用例が特に多い気がしている。実際、まちカドまぞくの記事には現時点でなんと 123 個の Trope が紐付けられている。
Trope を理解することで、より深くまちカドまぞくを考察できるはずだ。