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デジタル簡易無線でのCQの出し方(無線局呼び出し)

無線を使って他の局を呼び出すには、CQ を出さなければならない。 デジタル簡易無線を使って CQ を出す際に守ったほうが良い慣例や送信の仕方についてまとめておく。

デジタル簡易無線始めましたって話はこちら。

自分も始めたばかりなのでこれが正しいのかわかりません。

他の局の交信を聞いてなんとなく空気を掴んだ程度なので、間違ってるかもしれません。

他にもCQの出し方を紹介しているページはいくつかあるので、それらと総合して判断するのが良いでしょう。

また、慣例には地域差も多少あるようなので、一番良いのはワッチ(他の人の交信を聞く)ことです。

そもそも CQ とは

CQ とは、無線通信において、通信可能の範囲内にある全ての無線局を一括して呼び出す、あるいは、それらに対する通報を同時に送信しようとするときに用いられる略符号。

「誰か聞こえる人いますか?聞こえたら応答してください。」って伝えるということ。

アマチュア無線と違い、デジタル簡易無線では交信の仕方が法律で厳格に定められているわけではない。 だが、ある程度マナーというか慣例がある。

盲目的に覚えるのではなく、この慣例は

  • 他の人に混信や通信妨害を与えないようにするため
    • 特に、お仕事で使っている業務局に迷惑をかけないようにするため
  • 定型文によって交信相手の局とのやりとりを円滑にするため

プロトコルだと理解しておくと、「そりゃそうだよな」って感じのものばかりなので、簡単に覚えられるだろう。

全体のフロー

CQ を出す時にやる作業のフローとしては以下の通り。

flowchart TD
K[15ch以外の適当なチャンネルを探す - 以下XXchと呼ぶ]
A[XXchを数分間ワッチ]
B[XXchでチャンネルチェック]
D[15chでCQを出して移動先チャンネルを指定する]
E[XXchでCQを出す]
F{使用されてる?}
G{応答ある?}
H{応答ある?}
J[CQ成功!交信を開始する]

K --> A --> F -->|使用されてない| B
F -.->|使用中|K
B --> |1分待ってもう一度|B --> G --> |応答なし| D
G -.-> |応答あり| K
D --> E --> H --> |応答あり|J
H -.-> |応答なし|K

各ステップの詳細を述べていく。

15ch 以外の適当なチャンネルを探す

デジタル簡易無線において、15ch は呼び出し専用チャンネルとして定められている。 15ch は他局の呼び出しのみに使い、それ以外での使用は極力避けなければならない。

15ch で CQ してから空きチャンネルを探すと結構面倒なことになるので、先に空きチャンネルを探しておくと良い。

というわけで、15ch 以外で空いていそうなチャンネルを選ぶ。15ch から近いとチャンネル変更の手間が小さくて楽かもしれない。

以下、選んだチャンネルを XXch と呼ぶ。

XXch を数分間ワッチ

ちょっと聞いて特に交信している気配が無くても、実は使用中だったりするかもしれない。 それを回避するため、最低でも 2,3 分はそのチャンネルをワッチして、誰も使っていないという確証を高める。

前提として、デジタル簡易無線はお仕事で使っている業務局を優先するべきというマナーがある。 趣味で遊んでいる人が仕事の邪魔をすることは極力避けなければならない。

XXch でチャンネルチェック

しばらくワッチして使っている気配がなければ、実際にこちらから交信して誰も使っていないことを確認する。

XXch で以下を送信する。

「とうきょう AA999」には自分で決めたコールサインを代入すること。

チャンネルチェック、チャンネルチェック。

XX チャンネルお使いの方いらっしゃいますでしょうか。

こちらは「とうきょう AA999」です。混信等与えていましたらお知らせください。

この後の送信でも共通することだが、無線でのやりとりではどうしても音質が悪かったり、途中で途切れ途切れになることがあるので

  • はっきりゆっくり明瞭に声を出す
  • 文節ごとに間を空ける

ように意識すると良さそう。 聞き取りやすい声の人の方が CQ を取ってもらえる確率が高いらしい。

念の為、1 分ほど待ってからもう一度チャンネルチェックをする。

チャンネルチェック、チャンネルチェック。

XX チャンネルお使いの方いらっしゃいますでしょうか。

こちらは「とうきょう AA999」です。混信等与えていましたらお知らせください。

それでも応答がなければ、このチャンネルは使われていないと判断して良いだろう。 チャンネル番号を覚えて、次のステップへ進む。

15ch で CQ を出して移動先チャンネルを指定する

いよいよ 15ch で CQ を出す。 そもそも 15ch が使われていないことが確認できたら、以下を送信する。

CQDCR(シーキューディーシーアール)、CQDCR。

こちらは「とうきょう AA999」、 「とうきょう アルファアルファ 999」。

東京都千代田区移動です。

どなたかご入感局ありますでしょうか。

入感ございましたら、次回 XX チャンネルにて秘話コードなし、XX チャンネルにて秘話コードなしで交信をお願いします。

XX チャンネルに QSY します。

謎単語が飛び交っているので一行ずつ解説する。

CQDCR(シーキューディーシーアール)、CQDCR。

CQ に DCR と付けているが、これは”Digital Convenience Radio”(= デジタル簡易無線)の略。

これは付けても付けなくても良いが、例えばデジタル簡易無線の他に CB やアマチュア無線も同時に呼び出し待ちをしている人にとっては、DCR という情報があると「デジ簡から CQ が来たんだな」とすぐにわかり親切らしい。

こちらは「とうきょう AA999」、 「とうきょう アルファアルファ 999」。

自局のコールサインを伝える。

2 回、フォネティックコードを使わない版と使う版で伝えると親切だろう。 数字についても、一回目は「きゅーきゅーきゅー」、二回目は「きゅうひゃくきゅうじゅうきゅう」と違う言い方で伝えると良いかもしれない。

また、コールサインに入っている地名とは異なるエリア(X とする)で運用している場合には、コールサイン末尾に「ポータブル X」と付ける場合もある。 例えば「とうきょう AA999」局がエリア 8(北海道)で運用している場合には、

とうきょう AA999 ポータブル 8(エイト)

となる。

付けないことで誰かに迷惑をかけるとは思えないので、マナー的に必須ということはないと思う。 ただ、付けるとなんかかっこいい。

東京都千代田区移動です。

どこから運用しているのかを伝える。

場所は正確でなくても良い。区や市ぐらいの単位が妥当そう。 これを伝える理由としては、例えば指向性のアンテナを使っている人がこちらにアンテナを向けて感度を高めることができるから。

自宅等に固定の無線機で運用している場合には「固定」、モービル機等で運用している場合には「移動」と付ける。 これを伝える理由はあまり思い浮かばないが、やはり付けるとなんかかっこいい。

どなたかご入感局ありますでしょうか。

文字通り。

入感ございましたら、次回 XX チャンネルにて秘話コードなし、XX チャンネルにて秘話コードなしで交信をお願いします。

先程空きチャンネルであることを確認した XX チャンネルへ移動するようお願いする。

秘話コードは付けるべきか否か

デジタル簡易無線には秘話コードという機能がある。これを付けると、同じ秘話コードを設定している人しか受信内容を復号できない。

趣味でデジタル簡易無線をやる人は秘話コード「27144」を設定しようというムーブメントがある。 そのように運用している人も体感では 3 割くらいいるが、これが本当に良いマナーと言えるのかは疑問が残る。

というのも、秘話コードをかけて送信しても、復号できないだけでその通信自体は拾ってしまうから。

例えばお仕事で使っている人のところに混信させてしまったとき、秘話コード無しであれば「趣味で使ってる奴らが入ってきちゃったな」ということがわかる。 それがわかれば、送信が終わったタイミングで「今使ってるんで別のチャンネルへ移ってくれ」と言うこともできるし、別のチャンネルへ移ることもできる。

もし秘話コードを設定していると、復号できないので「謎の電波によって混信してるな」ということしかわからない。 そしてデジタル簡易無線にはキャリアセンスという機能がある。 これは他局からの電波を拾っている間は送信ができないような仕組みだ。

秘話コードがかかった謎の電波の状態では、その送信がいつ終わるのか全くわからない。なので、文句をつけようにもタイミングが掴めないということになる。

どちらが他の人に親切かといえば、個人的には秘話コードをつけない方が良いのでは?と思う。

XX チャンネルに QSY します。

QSY は「周波数を変えます」をかっこよく言っているに過ぎない。 デジタル簡易無線においてはチャンネルを変えることを表す。

XXch で CQ を出す

15ch で呼び出しを終えたら、先程空きチャンネルであることを確認した XXch に移動してもう一度 CQ を出す。

CQDCR(シーキューディーシーアール)、CQDCR。

こちらは「とうきょう AA999」、 「とうきょう アルファアルファ 999」。

東京都千代田区移動です。

どなたかご入感局ありますでしょうか。

こちらは「とうきょう AA999」です。

入感ございましたら交信をお願いします。どうぞ。

次に相手局に取ってもらうことを考えると、交信の最後の方にもう一度自局のコールサインを送信すると親切だろう。

CQ 成功!交信を開始する

もし誰かがこの CQ を聞いていて話す気になれば、

「とうきょう AA999」さん取れますでしょうか、こちらは「おきなわ ZZ111」です。

のような形で応答が返ってくる。 相手のコールサインを覚え、

「おきなわ ZZ111」さん、こちらは「とうきょう AA999」です。

はい聞こえております、ありがとうございます。

のように返す。

これで CQ は成功である。やったね!

あとは好きに会話するだけだが、一番最初に RS レポートを返すのが良いかも知れない。

RS レポート(シグナルレポート)

了解度(readability)と信号強度(sigunal strength)を相手に伝えること。

フォーマットが定まっており、2 つの数字で表す。

了解度は 1 から 5 の数字で表し、5 が「完全に了解できる」ことを表す。 逆に 1 は「了解できない」ことを表す。 了解度は「メリット」と呼ぶこともある。

アマチュア無線からの慣例だが、デジタル簡易無線の場合は信号がデジタル化されているため、あまり意味は無いかもしれない。 途切れ途切れで無い限り基本的に 5 を返せば良いだろう。

信号強度については、無線機に S メーターがついていればその数字を返す。 S メーターが付いてない場合は言わなくても良いし、携帯電話みたいなアンテナマークで出る場合には「アンテナマークで 3 本」とかでも良い。

ということで、RS レポートは以下のいずれかのパターンに落ち着くはず。

  • レポートは 59(ごーきゅう)です。
  • メリット 5 です。
  • メリット 5、信号強度はアンテナマークで 3 本です。

自分は 3 つ目を採用している。

会話を始める

ということで、相手局から応答があった後の最初の交信内容はこんな感じになるだろう。

「おきなわ ZZ111」さん、こちらは「とうきょう AA999」です。

はい聞こえております、ありがとうございます。

RS レポートですが、メリット 5、 信号強度はアンテナマークで 3 本で入感しています。

こちらの信号はいかがでしょうか。「とうきょう AA999」からお返しします、どうぞ。

ちゃんと聞き取れていれば、相手局からも RS レポートが返ってくるはず。

これで交信は成功である。あとは好きに話せば良い。

ただ、誰が誰宛に送信しているのかを相手局や第三者からはっきりさせるため、以下のフォーマットは常に守った方がよいかもしれない。

「おきなわ ZZ111」さん、こちらは「とうきょう AA999」です。

(自由な会話)

「とうきょう AA999」からお返しします、どうぞ。

会話を終える

満足したら会話を終える。

もはやマナーでもなんでも無いが、かっこいい終え方は存在し、以下のような形になる。

「おきなわ ZZ111」さん、こちらは「とうきょう AA999」です。

本日は交信ありがとうございました。

73(セブンティスリー)、さようなら。

73 は”Best regards”の意味を持つ無線略語。

ちなみに女性宛には 88(= “Love and kisses”)にするとか、女性は 88 を使うとかという話もあるが、よくわからない。

とりあえず 73 を使っておけば良いんじゃないだろうか。

カンニング用まとめ

チャンネルチェック。

チャンネルチェック、チャンネルチェック。

XX チャンネルお使いの方いらっしゃいますでしょうか。

こちらは「とうきょう AA999」です。混信等与えていましたらお知らせください。

数分開けてもう一回チャンネルチェック。

それでも使ってなければ 15ch で CQ。

CQDCR(シーキューディーシーアール)、CQDCR。

こちらは「とうきょう AA999」、 「とうきょう アルファアルファ 999」。

東京都千代田区移動です。

どなたかご入感局ありますでしょうか。

入感ございましたら、次回 XX チャンネルにて秘話コードなし、XX チャンネルにて秘話コードなしで交信をお願いします。

XX チャンネルに QSY します。

チャンネルチェック済のチャンネルで CQ。

CQDCR(シーキューディーシーアール)、CQDCR。

こちらは「とうきょう AA999」、 「とうきょう アルファアルファ 999」。

東京都千代田区移動です。

どなたかご入感局ありますでしょうか。

こちらは「とうきょう AA999」です。

入感ございましたら交信をお願いします。どうぞ。

運が良ければ応答が返ってくる。

「とうきょう AA999」さん取れますでしょうか、こちらは「おきなわ ZZ111」です。

相手のコールサインを覚え、RS レポートを送る。

「おきなわ ZZ111」さん、こちらは「とうきょう AA999」です。

はい聞こえております、ありがとうございます。

RS レポートですが、メリット 5、 信号強度はアンテナマークで 3 本で入感しております。

こちらの信号はいかがでしょうか。「とうきょう AA999」からお返しします、どうぞ。

あとは自由に会話する。ただし常に以下のフォーマットは守る。

「おきなわ ZZ111」さん、こちらは「とうきょう AA999」です。

(自由な会話)

「とうきょう AA999」からお返しします、どうぞ。

満足したら会話を終える。

「おきなわ ZZ111」さん、こちらは「とうきょう AA999」です。

本日は交信ありがとうございました。

73(セブンティスリー)、さようなら。

これで基本的に OK なはず。 自分もまだ 2,3 回くらいしか交信していないので、今後経験を積んだら内容を修正するかもしれません。

This post is licensed under CC BY-NC 4.0 by the author.