デジタル簡易無線というものを買ってみました。 同じく興味ある方のために、それに至った経緯と調べて学んだことをまとめておきます。
経緯
昔から無線通信には興味があった。 小学生の頃、おもちゃのトランシーバーがあたるガチャガチャに挑戦した(謎の臭いスライムが出てきて後悔した)。 中学生の頃、学習発表会で大道具係が無線を使って連携してるのを見ていいなあとか思っていた。
電磁波にはオカルトと親和性が高いイメージがある。そして私はオカルトが好きだ。 まちカドまぞく 6 巻前半の件が好きなのは結構これに由来するのかもしれない。
そんなわけで、この度無線機を買うことにした。
種類
無線といってもいろいろあるらしい。 一般人が趣味でやるなら、以下の 4 つが選択肢に挙がるようだ。
- アマチュア無線
- 市民ラジオ
- デジタル簡易無線
- 特定小電力トランシーバー
アマチュア無線
趣味で無線といえば太古の昔からあるのがアマチュア無線。 ただし、制限が多い。
まず、使うにはアマチュア無線技士の国家資格を取る必要がある。
アマチュア無線技士の資格には第四級から第一級まであり、級が上がるほど操作できる周波数の範囲と出力の上限が広がる。
電波を送出する際には常にコールサインを名乗る必要がある。
厄介なのが、通信内容がアマチュア業務、つまり趣味に限られているということ。 ここで言う趣味とは「無線趣味」のことで、通信技術の研究だけを指している。 だから、例えばイベントとかで友人とコミュニケーションを取るために使うことも厳密に考えれば許されないらしい。
あと地味に嫌なのが、ユーザーの治安があまり良くないという噂を聞くこと。シンプルに言うと老害化が進んでいるらしく、若者や女性にマウントを取りたがるおじさんとのエンカウント率がそこそこ高いらしい(伝聞なので本当のところはわかりません)。
市民ラジオ
CB(Citizens band radio)とも呼ばれる市民ラジオ。そこそこ歴史が古い。
免許が不要なライセンスフリー無線。
27MHz 帯の周波数を使うので、普段はあまり遠くに届かない。 しかし春から夏にかけて、スポラディック E 層という電離層の特殊な状況が発生すると、光ファイバーの要領で超遠距離まで届くようになる。 (FM ラジオでたまに外国語放送が聞こえてきたりするのもこの現象が原因。)
デジタル簡易無線
デジ簡と略される。これもライセンスフリーだが、電波の送出には無線機の個体番号を総務省に届け出て、年間 400 円程度の電波使用量を払わないといけない。
351MHz 帯を使い、最大出力が 5W なので、結構遠くまで届く。 通信距離は最大 5km 程度とされているものの、良いアンテナを使えば青森から函館くらいなら届くし、条件が良いと日本海を突っ切って新潟から北海道まで届くこともあるらしい。
やり取りするのはデジタル信号なので、電波が減衰するに従って聞こえにくくなるというよりは、復号可能なしきい値を電波強度が下回ると途端に何も聞こえなくなってしまうらしい。 無線らしさがちょっと減るのが残念。
特定小電力トランシーバー
特小と略される。ライセンスフリー。
出力が 0.01W に制限されているため通信距離が超小さいが、各地にあるレピーターまで電波が届けば、中継してもらって遠くまで通信が可能。
アンテナの交換ができない。
結局何を選んだのか
デジタル簡易無線が良いなあと思った。
アマチュア無線は色々とめんどくさそうなので除外。
無線をやるならアンテナとかも色々試してみたいので、法律上アンテナが交換不可能な特定小電力トランシーバーも除外。
電離層とかの助け無しに遠くまで届きそうなデジタル簡易無線になった。
購入
とはいえ、デジタル簡易無線機は結構お値段が張る。新品で買おうとすると 2 万円以上の出費は避けられない。最新モデルとか買おうとしたら 3 万円を超える。
無線機について勉強しつつ、ヤフオクとかメルカリを漁ることにした。
2 週間位ウォッチし続けた結果、KENWOOD の TPZ-D503 という無線機を 1 万円程度で手に入れることができた。
- 5W 出力可能
- 程よいゴツさ
- KENWOOD の無線機は音質が良いと評判らしい
などが要因。
聞いてみる
一応ジャンク品という扱いだったのでドキドキしながら無線機の電源を入れてみる。 が、どのチャンネルも電波を受信しない。本当にジャンク品だったのか…?
我が家は地形的に谷間のような場所にあるため、電波がほとんど入らないのかもしれない。
そこで人の多そうな場所に行くことにした。東京駅の近く、KITTE ビル 6 階の屋上庭園で電源を入れてみると、いろんなチャンネルから業務中っぽい会話が聞こえてきた。 呼び出し専用の 15ch で待っていると、池袋サンシャインビル展望台から運用しているという人の CQ も入ってきた。
少なくとも受信機能は壊れてなさそうだ。 他にも、いろいろと興味深い業務無線が聞こえてくる。 ある時は映画の撮影をしているらしき交信が入ってきたりもした。
これはめちゃくちゃ楽しい。
無線機の登録
無線機の登録が通るまでは電波を送出できない。 早速、総務省に届け出をすることにした。
届け出には 2 種類あり、どちらか好きな方を選べば良い。
- 個別登録
- 登録が無線機に紐づくイメージ。
- 無線機 1 台ずつ登録する。だいたい 15 日以内に登録状が返ってくる。
- 登録が完了したらその無線機の運用が開始可能。
- 包括登録
- 登録が個人に紐づくイメージ。
- 最初に包括登録申請を行い、それが完了した後に無線機の開設届を提出する。だいたい 15 日以内に登録状が返ってくる。
- 包括登録が通れば、その後は自由に無線機を運用できる。ただし開設届を運用開始から 2 週間以内に提出しなければならない。
- 手数料が個別登録より少しだけ割高。
今回は包括登録を選択した。 2 台目以降の無線機を買ったとき、
- 2 台を個別登録するのにかかる手数料よりも包括登録の手数料の方が安い
- 包括登録さえ済んでいれば、手に入れた無線機を即日使える
ため。
自分の場合、関東総合通信局へ提出することになった。
金曜日に投函して、きっちり 2 週間後の金曜日に登録状が届いた(内 1 日祝日を含む)。
ずっといつ来るかソワソワしてたので、しっかり 15 日以内に届いてよかった。
長くなってきたので実際交信したよって話は別のページに書きます。